
マイローカルコンビニ
はじめまして! このブログ「マイローカルコンビニ」の運営責任者であり、現役のコンビニ店長を務めております、齋藤 正志(さいとう まさし)と申します。
ニュースやSNSで「ファミリーマート加盟店ユニオン」という言葉を目にして、一体どのような組織なのか、なぜ裁判沙汰になったのかと気になって検索されたのではないでしょうか。コンビニ業界では、店長のパワハラや労働基準法違反に関する問題、過去に世間を騒がせた土下座事件などの事件ニュースが度々取り上げられますし、政治家の河野氏が業界の問題に言及して大きな話題になったこともありました。
また、現場で働く方にとっては、従業員相談窓口やお取引先ヘルプラインが実際にどう機能しているのか、本部社員である部長の年収はいくらなのか、過去に吸収されたコンビニはどこなのかといった疑問も尽きないかと思います。直営店とフランチャイズ店はどう見分けるのかも含めて、「コンビニ関連ユニオンとは何ですか」という根本的な疑問に対し、私自身の経験も踏まえて分かりやすく解説していきますね。
記事のポイント
- ファミリーマート加盟店ユニオンの結成背景と裁判の最終的な結果
- 過去に起きた事件や労働環境にまつわる具体的な問題点
- 直営店とフランチャイズ店の違いや簡単な見分け方の豆知識
- 加盟店オーナーや従業員が知っておくべき相談窓口と今後の展望
ファミリーマート加盟店ユニオンの活動と事件
- コンビニ関連ユニオンとは何ですか?
- コンビニ問題に関わる河野氏の動向
- 店長のパワハラと労働基準法違反の事例
- ファミリーマートの事件ニュース詳細
- 過去に起きた土下座事件の真相
コンビニ関連ユニオンとは何ですか?
まず最初に、今回のテーマの中心である「ユニオン」について、その正体と役割を深掘りして整理しておきましょう。一般的に「ファミリーマート加盟店ユニオン」という名前で報道されることが多いですが、この組織の正式名称は「コンビニ加盟店ユニオン(略称:Cu)」といいます。
「ファミリーマートのオーナーだけの集まりなの?」と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。セブン-イレブンやローソンなど、他の主要チェーンの加盟店オーナーさんも参加している、企業の枠を超えた産業別労働組合という形態をとっています。2009年頃に結成され、岡山のセブンイレブン店主などが中心となって立ち上がったのが始まりです。
なぜ「ユニオン」が必要だったのか?
私たちのようなコンビニオーナーは、契約上は「独立した事業者(経営者)」という扱いになっています。つまり、一国一城の主として、自分の判断で店を切り盛りするのが建前です。しかし、現実はどうでしょうか。商品の仕入れ、店舗のレイアウト、キャンペーンの実施、そして24時間営業という営業時間に至るまで、そのほとんどが本部の厳格なルールによって決められています。
「経営者と言われながら、実態は本部の指揮命令下にある労働者と変わらないのではないか?」
このような疑問が出発点となり、個々のオーナーでは太刀打ちできない巨大企業(本部)と対等に話し合うために結成されたのがこのユニオンです。一人では「24時間営業をやめたい」と言っても契約違反だと言われて終わりですが、団結して交渉すれば道が開けるかもしれない、という希望が込められています。
ユニオンが目指している主なこと
- 団体交渉権の確立: 労働組合法上の「労働者」として認めさせ、本部に対して交渉のテーブルに着くことを法的に義務付けたい。
- 24時間営業の強制見直し: 人手不足やオーナーの健康問題を解決するため、営業時間の裁量権を獲得したい。
- ドミナント出店の規制: 既存店のすぐ近くに同じチェーン店を出店する「ドミナント戦略」による売上低下を防ぎたい。
- フランチャイズ法(FC法)の制定: 本部と加盟店の契約ルールを定める法律を作り、フェアな関係を築きたい。
加盟店数は約5,600店(過去の報道ベース)とも言われており、その影響力は無視できないものになっています。単なる賃上げ交渉の組合とは違い、日本のフランチャイズビジネスのあり方そのものに疑問を投げかける、非常に社会的な意義の強い活動を行っているのが特徴です。
コンビニ問題に関わる河野氏の動向

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コンビニ業界の問題が、単なる企業内のトラブルを超えて社会問題化した背景には、政治や行政からのアプローチが大きく関わっています。その中でも特に注目されたのが、当時外務大臣や規制改革担当大臣などを務めていた河野太郎氏などの動きです。
数年前、東大阪のセブンイレブンオーナーが人手不足を理由に独断で時短営業を行い、本部と対立した騒動を覚えているでしょうか? あの時、世論は一気に「コンビニオーナーは被害者だ」という方向に傾きました。この流れの中で、河野氏をはじめとする政治家たちが、コンビニ業界の古い慣習や硬直的な契約形態に対して疑問を呈する場面が見られるようになりました。
行政による「外圧」が業界を変えた
特に大きな転換点となったのは、経済産業省や公正取引委員会が本腰を入れて実態調査に乗り出したことです。それまで「本部と加盟店の契約の問題だから、国が口を出すことではない」とされがちだった領域に、メスが入りました。
公正取引委員会は2020年に、コンビニ本部と加盟店の取引に関する大規模な調査報告書を発表しました。その中では、「加盟店が赤字でも24時間営業を強制することは、独占禁止法上の『優越的地位の乱用』にあたる可能性がある」という画期的な見解が示されました。
この調査の重要性:
公取委の調査により、多くのオーナーが「年中無休・24時間営業」に限界を感じている実態が数値として明らかになりました。これが、後の「時短実験」や「契約内容の見直し」につながる決定的な根拠となったのです。
(出典:公正取引委員会『コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査について』)
河野氏個人の活動というよりも、当時の政権全体として「働き方改革」を進める中で、コンビニ業界の過酷な労働実態が是正すべき対象としてロックオンされた、と見るのが正しいでしょう。ユニオンの活動が下から突き上げた問題を、政治が上から拾い上げた形となり、結果として業界全体が重い腰を上げざるを得ない状況が作られました。今、私たちが店舗で「時短営業中」の張り紙を見かけるようになったのも、こうした政治的な動きと無関係ではありません。
店長のパワハラと労働基準法違反の事例
コンビニの現場では、二つの方向からの「ハラスメント」や「法令違反」のリスクが常に潜んでいます。一つは「本部社員(SVなど)から加盟店オーナーへ」、もう一つは「加盟店オーナーから店舗スタッフ(アルバイト)へ」です。ユニオンが主に闘ってきたのは前者ですが、後者の問題も根深く、両者は密接に関係しています。
本部社員からオーナーへの「指導」という名の圧力
私たち店長が最も恐れるのが、契約更新の拒絶です。コンビニのフランチャイズ契約は通常10年や15年ですが、更新されなければそこで失職し、多額の借金だけが残ることもあります。一部の事例では、この優越的な立場を利用して、以下のようなパワハラまがいの指導が行われたという報告があります。
- 発注の強要: 「恵方巻きを〇〇本取らないと、更新時に不利になりますよ」と暗に脅され、廃棄が出ると分かっていても大量発注させられる。
- シフトへの介入: オーナーが過労で倒れそうでも、「契約なんだから店を開けろ」と迫り、本部社員がヘルプに入ることも拒否される。
- ドミナント出店: 「近くに競合が出るよりはマシでしょう」と言われ、自分の店のすぐ近くに同じチェーンの店を出店され、売上が激減する。
こうした状況でオーナーが精神的に追い詰められると、そのストレスの矛先は最も弱い立場のアルバイトさんに向かってしまうことがあります。これが「オーナーからスタッフへ」のパワハラです。本部に対して不満がある場合は、適切な窓口へ連絡することが重要です。例えば、ファミリーマート苦情メールの送り方なども事前に把握しておくと、いざという時に役立つかもしれません。
店舗内での労働基準法違反の連鎖
経営に余裕がない店舗では、人件費を削るために労働基準法を無視した運営が行われるケースが後を絶ちません。
よくある違反事例(絶対にダメ!)
- 罰金制度: 「遅刻したら罰金1,000円」「レジ差異が出たら自腹で補填」などは、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)や第24条(全額払いの原則)に違反する違法行為です。
- シフトの強制: テスト期間中で休みたい学生に対し、「代わりを見つけないと休ませない」と強要する。これは法的な根拠がありません。
- ワンオペの常態化: 防犯上も危険な深夜のワンオペを続けさせ、休憩時間が全く取れない。
ユニオンの活動は、本部との関係を適正化することでオーナーの精神的・経済的余裕を取り戻し、結果として店舗スタッフへのしわ寄せを防ぐという意味でも、非常に重要な役割を担っていると言えます。
ファミリーマートの事件ニュース詳細
ファミリーマート加盟店ユニオンが当事者となった一連の裁判は、日本の労働法制における歴史的な事件となりました。これは単なる「揉め事」ではなく、新しい働き方や契約形態をどう法的に位置づけるかという、非常に高度な争いでした。
争点:「オーナーは労働者なのか、事業者なのか?」
ことの発端は、ユニオンがファミリーマート本部に対して「再契約の基準などについて話し合いたい」と団体交渉を申し入れたことでした。しかし、本部は「あなたたちは独立した経営者(事業者)であり、労働組合法上の労働者ではないので、交渉に応じる義務はない」と拒否しました。
これに対し、ユニオン側は「24時間営業の強制や細かいマニュアルによる指揮命令を受けており、実態は労働者だ」と主張し、救済を求めて行政機関に訴えました。
裁判の時系列とジェットコースターのような展開
| 時期 | 機関 | 判断の内容 |
|---|---|---|
| 2015年 | 東京都労働委員会 | 【ユニオン勝利】 オーナーは「労働者」であると認定し、本部に団交応諾を命令。 |
| 2019年 | 中央労働委員会 | 【逆転敗訴】 オーナーは「労働者ではない」と判断。都労委の命令を取り消し。 |
| 2023年 | 東京高裁 | 【敗訴維持】 中労委の判断を支持し、ユニオン側の訴えを棄却。 |
| 2024年 | 最高裁判所 | 【判決確定】 上告を棄却。オーナーの「労働者性」否定が最終確定。 |
負けたけれど、実質は勝った?「付言」の効力
結果だけ見ればユニオンの完全敗北です。しかし、この裁判には続きがあります。2019年に中央労働委員会がユニオン敗訴の命令を出した際、「付言(ふげん)」という異例のコメントを付け加えました。
「法的には労働者とは言えないけれど、本部と加盟店の間には圧倒的な力の差があるのは事実だ。だから本部は、法律の枠組みを超えて、ちゃんと話し合いの場を作りなさい」
意訳するとこのような内容です。この行政からの「強いお節介」とも言えるメッセージを受け、ファミリーマートは無視するわけにはいかなくなりました。その後、社長が全国を回って対話集会を開いたり、加盟店支援の行動計画を発表したりと、実質的な対応が進んだのです。裁判には負けましたが、本来の目的である「対話の実現」には大きく近づいた、という意味で非常に意義深い事件だったのです。
過去に起きた土下座事件の真相

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「コンビニ 事件」と検索して多くの人が思い出すのが、数年前に大阪府茨木市のファミリーマートで発生した「土下座強要事件」ではないでしょうか。この事件は、コンビニで働く私たちが日常的にさらされているリスクを象徴する出来事として、業界に衝撃を与えました。
事件のあらまし
客を名乗る男女数名が、商品のトラブル(因縁レベルのもの)をきっかけに店舗に押し掛け、オーナーや店員を長時間にわたって恫喝しました。「誠意を見せろ」「土下座しろ」と脅し、実際に店舗内で土下座をさせた上、その様子をスマートフォンで撮影。さらにあろうことか、その動画を自分たちでSNSに投稿したのです。
動画は瞬く間に拡散され、炎上しました。結果として、犯人グループは強要罪などの容疑で逮捕されましたが、被害に遭った店舗側の恐怖と屈辱は計り知れません。過去には、これと同様に防犯面で大きな注目を集めたファミリーマート小金井桜町店事件の詳細と防犯対策なども語り草となっており、誰でも気軽に立ち寄れるコンビニだからこそ、悪意を持った人間もフリーパスで入ってこられるという「開かれた場所」のリスクが露呈したと言えます。
現場と本部の意識の変化
この事件を機に、コンビニ業界全体で「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対応意識が劇的に変わりました。
- 防犯カメラの強化: 映像だけでなく音声も録音できるタイプの導入が進みました。
- マニュアルの改訂: 「お客様は神様」という姿勢から、「不当な要求には毅然と対応する」「身の危険を感じたら即警察へ」という方針への転換が図られました。
- 名札の表記変更: 従業員のプライバシーを守るため、フルネームではなく苗字のみ、あるいはイニシャル表記を認めるチェーンも増えています。
ユニオンも、こうした事件を受けて「加盟店の安全配慮義務」を強く本部に求めています。土下座事件は決して過去の話ではなく、今も形を変えて現場で起きているカスハラ問題の原点として、私たちが忘れてはならない教訓なのです。強盗事件への対策としては、鹿児島ファミリーマート強盗の全容なども参考になる事例の一つです。
ファミリーマート加盟店ユニオンと業界の知識
- 従業員相談窓口の適切な利用方法
- お取引先ヘルプラインの機能と役割
- 直営店とフランチャイズ店はどう見分ける?
- ファミリーマート部長の年収はいくらですか?
- ファミリーマートに吸収されたコンビニは?
- よくある質問
- ファミリーマート加盟店ユニオンの今後の展望
従業員相談窓口の適切な利用方法
店舗で働くアルバイトやパートの皆さんにとって、職場の悩みは尽きないものです。特に、雇い主であるオーナーや店長自身が悩みの種である場合、店舗の中だけで解決するのは不可能に近いでしょう。「給料が計算より少ない」「辞めさせてもらえない」「セクハラを受けている」……そんな時に頼りになるのが、チェーン本部が設置している従業員相談窓口です。
窓口はどこにある?どうやって使う?
ほとんどの店舗では、バックルーム(事務所)の壁や、更衣室の目立つ場所に「コンプライアンス相談窓口」や「クルー相談室」といったポスターが掲示されています。そこにフリーダイヤルの電話番号や、QRコードが記載されています。もし見当たらない場合は、入社時に渡されたマニュアルや、給与明細の裏面などを確認してみてください。
利用の流れは一般的に以下の通りです。
- 連絡: 電話やWebフォームで連絡します。多くの窓口は外部の専門会社に委託されており、プライバシーは守られます。
- ヒアリング: 相談員が詳細を聞き取ります。「匿名にしてほしい」と伝えれば、店舗側に名前が出ないように配慮して調査してくれます。
- 調査・指導: 本部の担当部署(監査部など)が事実確認を行い、問題があればオーナーに対して是正指導を行います。
相談する際のコツと注意点
相談をスムーズに進めるためには、証拠を集めておくことが重要です。「いつ、誰に、何をされたか」をメモしたり、給与未払いの場合はシフト表と給与明細のコピーを用意したりしておきましょう。
「オーナーにバレたらクビになるかも」と不安になる方も多いですが、相談したことを理由に解雇や不利益な扱いをすることは法律(公益通報者保護法など)で禁止されていますし、本部との契約でも厳しく禁じられています。勇気を出して声を上げることが、自分だけでなく、次に働く仲間の環境を守ることにもつながります。
お取引先ヘルプラインの機能と役割

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従業員向けだけでなく、加盟店オーナーやお取引先企業(納入業者など)向けに用意されている専用のホットラインもあります。ファミリーマートでは「お取引先ヘルプライン」といった名称で呼ばれることが多いです。
これは何のための窓口?
主に、本部社員(OFC/SV)による不正や不適切な言動を通報するためのルートです。例えば、以下のようなケースが該当します。
- 担当SVから「個人的に商品を買い取れ」と強要された。
- 接待や金銭の要求を受けた。
- 本部の施策について虚偽の説明を受けた。
- 更新拒絶をちらつかせたパワハラ発言があった。
通常、オーナーの相談相手は担当SVですが、そのSV自身が問題の当事者である場合、通常のルートでは相談できません。そこで、営業部門を通さずに、コンプライアンスや監査を管轄する部署に直接つながるバイパスとして機能するのがこのヘルプラインです。
内部自浄作用としての期待と課題
ユニオンのような外部団体に頼る前に、企業内部で問題を解決するための仕組みと言えます。健全な企業であれば、このヘルプラインからの通報を宝として扱い、組織の膿を出すきっかけにします。
しかし、かつては「通報したら、担当の上司から連絡が来て怒られた」という、いわゆる「通報者潰し」のような事案が噂されることもありました。現在は内部通報制度の整備が進み、通報者の秘密保持は徹底されているはずです。それでも不安な場合は、弁護士やユニオンなど、完全に利害関係のない外部へ相談するという選択肢も持っておくのが賢明な自衛策と言えるでしょう。
直営店とフランチャイズ店はどう見分ける?
皆さんが普段利用しているコンビニには、本部が直接運営する「直営店」と、個人のオーナーが経営する「フランチャイズ(FC)店」の2種類が存在します。外見は全く同じに見えますが、実は注意深く観察すると見分けることができます。
見分け方の裏ワザ3選
1. レシートを確認する(確実性:高)
買い物をしてレシートをもらったら、一番上か一番下を見てください。発行者(事業主)の名前が書いてあります。
「株式会社ファミリーマート」となっていれば直営店です。
「〇〇商店」「有限会社〇〇」「齋藤 正志(個人名)」などであれば、間違いなくFC店です。
2. 求人ポスターやサイトを見る(確実性:高)
店先に貼ってあるバイト募集の貼り紙を見てみましょう。
「連絡先:ファミリーマート採用センター」や「本部社員登用制度あり」が強調されている場合は直営店の可能性がありますが、決定的なのは「事業主」の欄です。
ここに個人名が書かれていればFC店です。
3. スタッフの名札と人数(確実性:中)
直営店は、新入社員の研修所(トレーニングストア)を兼ねていることが多いです。
そのため、やたらとスタッフの人数が多かったり、全員がキビキビとマニュアル通りの接客をしていたり、「店長」という名札をつけた人が複数人(研修中の店長候補)いたりすることがあります。
それぞれの役割の違い
直営店は、本部にとっての「実験場」です。新しいお弁当の陳列方法を試したり、セルフレジの導入テストを行ったりして、データを取ります。その成功事例を全国のFC店に広げるわけです。他チェーンの例ですが、セブンイレブン直営店の見分け方。確実な方法は?でも似たような特徴が解説されており、業界共通のポイントとして参考になります。
一方、FC店は「地域密着」が強みです。顔なじみのオーナーがいて、地元の行事に合わせたちょっとした売り場作りをするなど、マニュアルにはない温かみがあるのが特徴です。ちなみに、全国の店舗の9割以上はFC店であり、直営店はごく一部(数%程度)しかありません。もし直営店を見つけたら、それはちょっとレアな店舗かもしれませんよ。
ファミリーマート部長の年収はいくらですか?
インターネットでファミリーマートについて調べると、サジェスト(予測変換)に「部長 年収」と出てくることがあります。これは、赤字に苦しむ加盟店オーナーがいる一方で、本部社員はどれくらい貰っているのかという、ある種の嫉妬や疑念、あるいは純粋な興味から検索されているのでしょう。
大企業としての給与水準
ファミリーマートは、日本を代表する巨大企業であり、現在は総合商社・伊藤忠商事のグループ会社です。有価証券報告書などの公開データや、一般的な転職サイトの情報を参考に推測すると、以下のような水準が考えられます。
- 平均年収: 600万円〜700万円程度(全社員平均)
- 部長クラス: 1,200万円〜1,500万円程度
- 役員クラス: 数千万円〜
部長クラスともなれば、数百店舗、あるいは一つの地域全体を統括する責任あるポジションですから、世間一般の大企業と比較しても高水準の報酬が支払われていると考えられます。
「格差」がユニオン活動の燃料に
この金額を見て、どう感じるでしょうか。「責任の重さを考えれば妥当だ」と思う人もいれば、「オーナーは時給換算で数百円の生活をしているのに、搾取しすぎだ」と憤る人もいるでしょう。
実際、コンビニ会計(ロイヤリティ制度)の仕組み上、加盟店の利益が出なくても、売上があれば本部はチャージ(ロイヤリティ)を徴収できるシステムになっています(※契約形態によります)。この構造が、「本部だけが儲かる仕組み」として批判され、ユニオン活動の原動力となる「経済的格差への不満」につながっている事実は否定できません。
ファミリーマートに吸収されたコンビニは?
現在のファミリーマートの店舗数の多さは、純粋な新規出店だけでなく、数々の競合チェーンを飲み込んできた合併・買収(M&A)の歴史によって作られています。街中で「あれ? ここ昔は違うコンビニだったよね?」という店舗が多いのはそのためです。
消えていったチェーンたち
| コンビニ名 | 特徴と統合の経緯 |
|---|---|
| am/pm(エーエム・ピーエム) | 2010年頃に統合。都心のオフィス街に多く、店内で解凍する冷凍弁当「とれたてキッチン」が画期的でした。実は今のファミマのスイーツや惣菜の強さは、am/pmの商品開発力が注入された結果だとも言われています。 |
| サークルK・サンクス | 2016年に経営統合。これが最大規模の合併でした。「焼きとり」やスイーツ「シェリエドルチェ」などファンが多いチェーンでした。統合時には、オーナーさんがファミマに看板を架け替えるか、契約終了するかで大きな決断を迫られました。 |
| ココストア / エブリワン | 店内調理のパンや弁当(ばくだんおにぎり等)が名物だった地方に強いチェーン。これらもファミマに吸収されました。 |
「混成部隊」ゆえの難しさ
このように、今のファミリーマートは様々な出身母体のオーナーさんの集まりです。「元サークルKオーナー」や「元am/pmオーナー」などが混在しており、それぞれが旧チェーンの文化や契約条件への愛着を持っています。歴史的な変遷については、ファミリーマート昔のロゴの歴史を見ると、どのようにブランドが統合されてきたかが視覚的にも分かります。
ユニオンの活動が広まった背景には、こうした統合時の契約変更に伴う摩擦や、「前の本部の方が良かった」という不満の声が少なからず影響していたとも言われています。巨大化する組織の中で、多様な背景を持つオーナーをどうまとめていくかは、本部にとって現在進行形の課題なのです。ちなみに、過去にはセブンイレブンファミリーマート合併の真相のような大きな噂が飛び交ったこともあり、業界再編の動きは常に注目の的でした。
よくある質問
Q:ファミリーマート加盟店ユニオンは、ファミマのオーナーだけの組織ですか?
A:いいえ、違います。正式名称は「コンビニ加盟店ユニオン」であり、セブン-イレブンやローソンなど、他のチェーンの加盟店オーナーも参加している「産業別労働組合」です。企業の枠を超えて、本部との交渉力格差の是正やフランチャイズ法の制定を目指して活動しています。
Q:裁判で「労働者ではない」と判断されましたが、ユニオンの活動は失敗だったのですか?
A:法的には敗訴しましたが、実質的には大きな成果を上げています。裁判の過程で国(中央労働委員会)から「本部と加盟店には格差があるため、誠実に対応すべき」という「付言」が出されたためです。これがきっかけとなり、本部との対話集会や24時間営業の見直し(時短実験)、新たな加盟制度の導入などが進みました。
Q:直営店とフランチャイズ(FC)店を簡単に見分ける方法はありますか?
A:レシートを確認するのが最も確実です。発行者(事業主)の欄が「株式会社ファミリーマート」なら直営店、「〇〇商店」や個人名ならFC店です。また、求人募集の事業主欄や、スタッフの名札(直営店は研修中の「店長」名札が複数人いる場合がある)でも見分けることができます。
Q:ファミリーマートに吸収合併された、かつてのコンビニチェーンを教えてください。
A:主なチェーンとして、都心に強かった「am/pm(エーエム・ピーエム)」、大規模な統合となった「サークルK・サンクス」、店内調理が特徴だった「ココストア」などがあります。そのため現在のファミリーマートには、異なるチェーン出身のオーナーが混在しています。
ファミリーマート加盟店ユニオンの今後の展望

マイローカルコンビニ
最後に、これからのユニオンとコンビニ業界の未来について考えてみましょう。「労働者性」を巡る裁判が最高裁で決着した今、ユニオンの活動は終わってしまうのでしょうか? いえ、むしろ新しいステージに入ったと言えます。
「司法」から「立法」へ
裁判で勝てなかったということは、「今の法律ではオーナーを守れない」ということが確定したことを意味します。ならば、「法律そのものを変えよう」というのが現在のユニオンの戦略です。
具体的には、「フランチャイズ法(FC法)」の制定を目指す動きです。欧米の一部の国にはあるような、本部と加盟店の契約に関する公正なルールを定めた法律を日本でも作ろうと、政治家へのロビー活動や署名活動に力を入れています。
業界の変化と共存への道
一方、ファミリーマート本部も変わろうとしています。
- 時短営業の選択制: かつてはタブーだった時短営業が、正式な手続きを踏めば認められるようになりました。
- ひとり加盟制度: 2024年から、単身者でも加盟できる新しいパッケージが導入されました。これは人手不足や未婚率の上昇という社会背景に合わせた、柔軟な契約形態への進化です。
- デジタル化による省人化: 無人決済店舗やAI発注の導入で、店舗の負担を減らす取り組みが加速しています。
これらは、ユニオンが声を上げ、世論が動き、現場が悲鳴を上げた結果として勝ち取った「進化」です。対立するだけでなく、緊張感のあるパートナーシップを持つことで、コンビニというインフラはより持続可能なものになっていくはずです。ただ、業界全体の縮小や再編の波は続いており、ファミリーマート閉店理由の真実!大量閉店はなぜ起きたのか?といった記事で解説しているような厳しい現実も直視する必要があります。
私たち現場の人間にとっても、本部と加盟店が互いに尊重し合い、お客様に笑顔でサービスできる環境が整うことが一番の願いです。これからの動きにも、ぜひ注目し続けてください。