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ファミリーマート閉店理由の真実!大量閉店はなぜ起きたのか?

ファミリーマート閉店理由の真実!大量閉店はなぜ起きたのか?

マイローカルコンビニ

はじまして! このブログ「マイローカルコンビニ」の運営責任者であり、現役のコンビニ店長を務めております、齋藤 正志(さいとう まさし)と申します。

最近、通勤や通学のいつもの帰り道にあったお店がふと気づくとなくなっていたりして、ファミリーマートの閉店理由や大量閉店に関するニュースが気になっている方も多いのではないでしょうか。「あれ、ここも閉店?」「最近ファミマ減ってない?」となんとなく店舗数が減っているように肌で感じると、経営が赤字で潰れるのではないか、なぜこれほど閉店が続くのかと、イチ利用者としてもファンとしても不安に感じてしまうこともありますよね。

実はこの一連の動きには、単なる個別の店舗の経営不振だけではない、コンビニ業界特有の非常に深い事情や、次世代に向けた大規模な戦略が隠されているのです。

私自身、長年この業界に身を置いてきましたが、ここ数年の変化のスピードは過去に例を見ないほど激しいものです。かつては「出せば売れる」と言われた時代もありましたが、今は違います。本部も加盟店も、生き残りをかけて必死に構造改革に取り組んでいる真っ最中なのです。今回は現役店長の視点から、その裏側にある本当の理由を、現場の空気を交えながらわかりやすく解説していきたいと思います。

記事のポイント

  • サークルKサンクスとの統合による戦略的な店舗整理の全貌
  • ドミナント戦略の限界とカニバリゼーションの実態
  • 本部が定める厳しい不採算店の判断基準と撤退ルール
  • 人手不足やオーナー高齢化など業界全体の構造的な課題

ファミリーマートの閉店理由と大量閉店の背景

  • サークルKサンクス統合が招いた大量閉店
  • ドミナント戦略の限界とカニバリゼーション
  • 赤字が続く不採算店舗の整理基準とは
  • 店舗数が減った・潰れると感じる要因
  • 戦略的なスクラップアンドビルドの実行

サークルKサンクス統合が招いた大量閉店

ファミリーマートの店舗数が一時的に大きく減った最大の要因、それは間違いなく2016年に実施された「サークルKサンクス(CKS)」との経営統合にあります。私もこの業界に長くいますが、あの時の衝撃は本当にすごいものでしたし、現場でも大きな混乱と変化がありました。

当時、ファミリーマートはユニーグループ・ホールディングスと統合し、業界でのシェアを一気に拡大させる戦略に出ました。この統合によって、全国にあった「サークルK」や「サンクス」の看板が次々と「ファミリーマート」に掛け替えられていったのを覚えている方も多いと思います。

これにより店舗数は飛躍的に伸びましたが、同時に深刻な問題が発生しました。それは、「元々サークルKサンクスだった店舗」と「既存のファミリーマート」が、道路の向かい側や数十メートル先といった極めて近距離で競合してしまうケースが多発したことです。

統合当時、私の知り合いのオーナーさんも、自分の店のすぐそばに元サークルKだった店舗がファミマに転換されて、「これじゃあ共倒れだよ」と頭を抱えていました。同じブランド同士でお客さんを奪い合っても、会社全体としての利益は増えません。この非効率な状態を解消するために、本部は約1,000店規模での「選別的な閉店」という大きな決断を断行したのです。

これは単に経営が傾いたから閉店したのではなく、ブランドを統一して効率よく運営するための、いわば「前向きな手術」のようなものでした。

重複している店舗を整理し、より立地条件の良い方を残すことで、残った店舗の収益性を高める明確な狙いがあったんですね。ニュースでは「1,000店閉店」という数字だけが一人歩きして不安を煽りましたが、中身を見れば統合のシナジー効果を出すための「生みの苦しみ」であったと言えます。

当時を知る人にとっては、ファミリーマート昔のロゴの歴史!初代画像や変更理由を店長が解説の記事でも触れているような、懐かしい看板が一斉に消えていった時期でもあります。また、業界内では様々な憶測も飛び交いましたが、セブンイレブンファミリーマート合併の真相!噂の理由を店長が解説の記事にあるような、さらなる再編の噂が出るほどインパクトのある出来事でした。

ドミナント戦略の限界とカニバリゼーション

ドミナント戦略の限界とカニバリゼーション

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コンビニ業界では長年、特定の地域に集中して出店する「ドミナント戦略」が、絶対に勝てる黄金の法則とされてきました。例えば、「この市にはファミマしかない」と思わせるくらい集中的にお店を作ることで、配送トラックのルートを効率化できたり、地域の認知度を圧倒的に高めたりできるからです。

セブン-イレブンなどが得意としてきたこの手法ですが、ファミリーマートも積極的に取り入れてきました。

しかし、これには大きな副作用があります。それが「カニバリゼーション(共食い)」です。市場が成長している時期ならそれでも良かったのですが、コンビニ市場が完全に飽和した現在では、過度なドミナント戦略はかえって自分の首を絞める結果になりがちです。

カニバリゼーション(共食い)の発生メカニズム


近隣に同じチェーン店が増えすぎると、本来なら1つのお店に来ていたお客さんが分散してしまいます。結果として、1店舗あたりの売上が下がり、両方の店舗が疲弊してしまう現象です。

特に前述したサークルKサンクスとの統合では、意図せずして「超・過密状態」になってしまったエリアが全国各地に生まれました。以前なら「近くて便利」で済まされていた距離感が、今では「近すぎて儲からない」に変わってしまったのです。お客さんからすれば「どこにでもあって便利」かもしれませんが、経営する側からすると、同じ商圏内で客数を奪い合う消耗戦になります。

こうした「共食い」を解消し、1店舗ごとの商圏を適正に保つための閉店が相次ぎました。これは撤退というよりも、過剰供給の調整局面に入ったと見るべきでしょう。

実際、私が担当するエリアでも、かつては徒歩3分圏内に3店舗がひしめき合っていましたが、そのうちの1店舗が閉店したことで、残りの2店舗の売上が回復したという事例があります。コンビニの経営は、ただ店を開ければいいというものではなく、地域の需要と供給のバランスを見極める高度なパズルなのです。

ちなみに、ファミリーマートは日本発祥のブランドだと思われがちですが、その成り立ちには意外な歴史があります。詳しくはファミリーマートはどこの国の企業?起源や海外の歴史を店長が解説で紹介していますが、こうした独自の戦略背景を知ると、閉店のニュースも違った視点で見ることができるかもしれません。

赤字が続く不採算店舗の整理基準とは

「不採算店の整理」という言葉をニュースでよく聞きますが、これは単に「今月の収支が赤字だからすぐに閉店させる」というような単純な話ではありません。私たち現場の人間からすると、本部はもっと冷徹かつシビアに、将来性まで含めた複雑な計算式で判断していると感じます。

具体的には、以下のような基準で厳しくジャッジされています。

閉店判断に関わる重要指標(KPI)

  • 損益分岐点のクリア: 人件費や光熱費の高騰分を吸収し、確実に利益を出せる売上規模があるか。
  • 投資回収率(ROI): 本部が店舗の改装やシステムに投資したコストに対して、将来にわたって十分なリターン(利益)が見込めるか。
  • 商圏の将来性: その地域の人口が減っていないか、近くに競合(他チェーンやドラッグストア)が出店するリスクがないか。

特に最近は、電気代の値上がりや最低賃金の上昇により、店舗運営のコスト(固定費・変動費)が劇的に跳ね上がっています。昔なら「トントン(プラスマイナスゼロ)」で許されていたような店舗でも、今のコスト構造では維持できなくなっているのです。そのため、「今現在は黒字でも、将来的に稼げる見込みのない店舗」は、以前よりも早い段階で閉店の判断が下される傾向にあります。

これは企業として生き残るために、資本をより効率的な場所へ集中させるための、ある種当然の代謝とも言えます。

また、店舗運営だけでなく、本部レベルでの事業撤退も同様の論理で行われます。例えば、かつて実験的に行われていたデリバリーサービスなども、採算性が見込めなければ撤退します。

このあたりの事情については、ファミリーマートデリバリー撤退の真実!理由と今後の戦略を解説の記事でも詳しく掘り下げていますが、店舗の閉店も事業の撤退も、全ては「持続可能な経営」のための選択なのです。厳しい言い方をすれば、情だけで店を残せる時代は終わったということであり、私たち店長も常に数字と向き合い続けなければなりません。

店舗数が減った・潰れると感じる要因

みなさんが「最近ファミマが減ったな」「潰れているな」と肌感覚で感じる背景には、実際の閉店数だけでなく、心理的な要因や視覚的なインパクトも大きく影響しているかもしれません。しかし、客観的な数字として見ても、やはり一時期の減少幅は過去に例を見ないほど大きかったのは事実です。

特に統合後の調整期間(2016年〜2019年頃)は、新しくお店を作る「新規出店」の数よりも、お店を畳む「閉店」の数が上回る「純減」の時期がありました。商店街やロードサイドで、看板が外され、窓ガラスに白い紙が貼られた元コンビニの建物を見るのは、なんとなく寂しいですし、記憶に強く残りますよね。

さらに、看板が「サークルK」から「ファミリーマート」に掛け変わる工事期間中に一時休業していたり、統廃合によって閉鎖された空き店舗を目にする機会が増えたことで、「ファミマがどんどん撤退している」「経営が危ないんじゃないか」というネガティブな印象が強く残ってしまったのだと思います。

実際には、この時期を経て筋肉質な店舗網に生まれ変わっている最中なのですが、どうしても「減っている」という事実の方が目立ってしまうのは仕方のないことかもしれません。

閉店した店舗の跡地がどうなるかも気になるところですが、例えばファミリーマート豊橋東雲店レポ!跡地や求人・事件のその後までのように、閉店後の店舗が別の形に生まれ変わったり、更地になったりする様子を見ると、地域の変化を実感させられます。こうした「目に見える変化」が、消費者の不安感を増幅させている側面もあるでしょう。

また、SNSなどでは「好きな商品がなくなったから閉店する前兆か?」といった噂も飛び交うことがありますが、商品の入れ替えは通常のサイクルです。それでも、お気に入りのお店がなくなると、何か悪いことが起きているのではないかと勘繰りたくなるのが人情というものですね。

戦略的なスクラップアンドビルドの実行

ここまで閉店の話ばかりしてきましたが、これは決して後ろ向きでネガティブな撤退だけではありません。業界用語で「スクラップ・アンド・ビルド」と呼ばれる、健全な新陳代謝のプロセスが進行している証拠でもあります。

スクラップ・アンド・ビルドとは?

古くて設備が古くなった、あるいは狭くて効率の悪い店舗(スクラップ)を閉めて、その経営資源をより収益性の高い新しいエリアや新型店舗(ビルド)へ振り向ける経営手法のことです。

スクラップ・アンド・ビルドとは?

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STEP 1:現状の収益性と商圏の分析 まず、既存店舗の「損益分岐点」や「投資回収率(ROI)」を厳密に計算します。同時に、サークルKサンクス統合時のような近隣店舗との「カニバリゼーション(共食い)」が発生していないか、商圏の重複を確認します。

STEP 2:持続可能性の評価(人・将来性) 数値上の黒字だけでなく、物理的な運営が可能かを評価します。「人手不足」で24時間営業が維持できるか、「オーナーの高齢化」による後継者問題がないかを確認し、将来的なリスクを洗い出します。

STEP 3:戦略的判断(閉店または転換) 評価基準を満たさない場合、「不採算店」として閉店(スクラップ)を決定します。特に駐車場がない、店舗が狭いといった古い規格の店舗は整理の対象となりやすい傾向にあります。

STEP 4:高収益店舗への再投資(ビルド) 閉店によって浮いた経営資源を使い、より好立地な場所や、広い駐車場・イートイン完備の「新型店舗」を出店(ビルド)します。単に店を減らすのではなく、質の高い店舗へ生まれ変わらせることで、全体の収益性を向上させます。

ファミリーマートは、このスクラップ・アンド・ビルドを非常に積極的に行っています。例えば、昔ながらの駐車場がない狭い店舗を閉める一方で、広い駐車場を完備し、店内にはイートインスペースがあり、最新のコーヒーマシンやセルフレジを導入した大型の新型店舗を近隣にオープンさせたりしていますよね。

これは、単に店舗の場所を移動しているだけでなく、時代のニーズに合わせて店舗のスペックをアップデートしているのです。「数」をひたすら追う時代から、一店一店の「質」を高める時代へシフトした結果が、今の閉店動向に表れています。「閉店=失敗」ではなく、「閉店=より良い店舗への進化の過程」と捉えると、少し見方が変わってくるのではないでしょうか。

さらに最近では、従来のコンビニの枠を超えた新しい形態の店舗も登場しています。ファミリーマート大阪IR/S店の営業時間や場所は?24時間外の理由でも紹介しているような、特定の施設内に特化した店舗や、無人決済システムを導入した省人化店舗など、効率と利便性を両立させるための実験が繰り返されています。

古い店舗を閉めることは、こうした次世代型店舗へ投資するための原資を生み出すことにも繋がっているのです。私たち現場の人間も、新しい設備の導入によってオペレーションが楽になったり、お客様に提供できるサービスの幅が広がったりすることを実感しています。

今後のファミリーマートの閉店理由と業界動向

  • 人手不足と24時間営業の見直し
  • フランチャイズオーナーの高齢化問題
  • コンビニ市場飽和とセブンイレブンとの比較
  • 本部と加盟店のロイヤリティ問題
  • よくある質問
  • ファミリーマートの閉店理由の総括

人手不足と24時間営業の見直し

これからの閉店理由として絶対に無視できないのが、日本全体で深刻化している「人手不足」です。私たち現場の店長にとっても、これは本当に頭の痛い、胃がキリキリするような問題です。

「募集をかけても応募が来ない」「せっかく採用してもすぐに辞めてしまう」というのは日常茶飯事です。特に深夜帯のスタッフ確保は困難を極めており、時給を上げても人が来ないという状況が多くの店舗で発生しています。アルバイトが集まらない店舗では、オーナーや店長が自らシフトに入り、寝る間も惜しんで長時間労働で穴埋めをする状況が続きます。

これでは身体が持ちませんし、物理的に店舗運営が維持できなくなります。

最近では、ファミリーマートも含めて24時間営業を見直す動きや、セルフレジの導入などが進んでいます。2024年刷新版ファミマ レジ 画面 店員 側を徹底解剖!操作と戦略的意図の記事でも解説していますが、レジ操作を簡略化して新人スタッフでも働きやすくする工夫など、本部も涙ぐましい努力を続けています。

しかし、それでも根本的な人手不足が解消できずに「もう限界だ」と閉店を選ぶケースは確実に増えています。

経済産業省の調査でも、コンビニオーナーの多くが「従業員不足」を最大の課題として挙げています。
(出典:経済産業省『新たなコンビニのあり方検討会 報告書』

売上はあるのに人がいない。「働いてくれる人がいないから、黒字でも店を閉めざるを得ない」という、非常に切実でやるせない閉店理由が、今後も増えていくことは避けられないでしょう。これはもはや一企業の努力だけで解決できる問題ではなく、日本の社会構造的な課題がコンビニという場所に凝縮して現れていると言えるかもしれません。

フランチャイズオーナーの高齢化問題

フランチャイズオーナーの高齢化問題

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もう一つの大きな波が、オーナーの高齢化です。コンビニブームの初期(1980年代〜90年代)に意欲的に加盟したオーナーさんたちが、いま一斉に70代、80代となり、引退の時期を迎えています。この問題は、地方の店舗ほど深刻です。

通常、一般企業や個人商店なら子供や親族、あるいは信頼できる従業員に店を譲る「事業承継」が行われます。しかし、今のコンビニ経営は「24時間365日気が休まらない」「人手不足で大変」「ロイヤリティが高くて儲からない」といった過酷なイメージも強く、自分の子供には継がせたくない、あるいは子供が継ぎたがらないというケースが多々あります。私の知人のオーナーも、「子供には普通のサラリーマンになってほしい」と漏らしていました。

後継者が見つからない場合、オーナーの引退はそのまま「完全閉店」を意味します。これはファミリーマートに限った話ではありませんが、歴史の長い店舗ほどこの問題に直面しており、お店自体は地域に愛されていて黒字であっても、後継者不足で閉店せざるを得ないという事例が実際に私の周りでも起きています。これは「経営の失敗」ではなく、「時代の変化による幕引き」に近い感覚かもしれません。

本部も「インターン社員独立制度」や「複数店経営の推奨」などで対策を打っていますが、すべての店舗を救えるわけではありません。長年地域を見守ってきた名物オーナーが引退し、その灯が消えていくのは寂しいことですが、これもまた避けられない現実なのです。

コンビニ市場飽和とセブンイレブンとの比較

「コンビニはもう飽和している」とよく言われますが、私も現場の実感としてそう思います。日本の人口が減っていく中で、これ以上店舗を増やすのは物理的に限界が来ています。どの駅前にも、どのロードサイドにも既にコンビニはあるのです。

この傾向はファミリーマートだけのものではありません。実は、業界最大手のセブン-イレブンでさえ、2019年以降に1,000店舗規模の閉店・移転の方針を発表するなど、業界全体が「拡大路線」から大きな転換点を迎えています。ローソンも同様に、不採算店の整理を進めています。

つまり、ファミリーマートの閉店が多いからといって、ファミマだけが一人負けしているわけではないのです。業界全体が、筋肉質な経営へと体質改善を急いでいる過渡期にあると言えます。

一方で、競合他社には別の問題もあります。例えばセブンイレブンでは、SNSなどで「上げ底弁当」や「ステルス値上げ」といった批判が相次ぐことがありました。これに対し、ファミリーマートは「40%増量作戦」のような大胆なキャンペーンを打ち出し、ポジティブな話題作りで対抗しています。

しかし、業界全体の構造的な問題、例えば「セブンイレブン本部クズ」と言われる構造的理由を元店長が解説の記事でも触れているような本部と加盟店の力関係や収益モデルの限界は、チェーンを問わず共通する課題です。

他社と比較しても、ファミリーマートの動きは、市場の飽和に適応し、生き残りをかけた合理的な経営判断の結果だと言えるでしょう。むしろ、M&Aによる急拡大を経験した分、店舗整理のノウハウや痛みを伴う改革への耐性は、他社より強いのかもしれません。

本部と加盟店のロイヤリティ問題

少しデリケートな話題ですが、お金の話、つまり本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)の間のお金の取り決めである「ロイヤリティ」の問題も、閉店の引き金になることがあります。ここを理解しないと、本当の閉店理由は見えてきません。

コンビニ経営では、売上総利益(粗利)の中から一定の割合を「ロイヤリティ(経営指導料)」として本部に支払います。これはブランドの看板代や物流システムの使用料、経営アドバイスの対価として必要なものですが、問題はその比率とバランスです。売上が好調なときは良いのですが、競合店の出現や人件費の高騰で利益が圧迫されると、このロイヤリティの負担感がどうしても重くのしかかってきます。

オーナーとしては「これだけ必死に働いても、手元に残る利益がこれだけなら、もう辞めようか」と心が折れてしまう瞬間があるのです。

特に、フランチャイズ契約の更新(通常10年など)のタイミングで再契約を結ばず、閉店を選択するオーナーさんは少なくありません。本部も様々な支援策を打ち出したり、契約内容の見直しを進めたりしていますが、収益構造のバランスが崩れた店舗から淘汰されていくのは、ビジネスである以上避けられない現実でもあります。

最近では、お客様からのクレーム対応などで疲弊するオーナーも増えています。ファミリーマート苦情メールの送り方との記事にあるように、本部への意見は簡単に届くようになりましたが、現場のオーナーへの精神的なフォローも、店舗存続の大きな鍵を握っていると感じます。金銭的な問題だけでなく、精神的な持続可能性も、これからのコンビニ経営には不可欠な要素なのです。

よくある質問

Q:ファミリーマートの店舗が急激に減った一番の理由は何ですか?

A:最大の要因は2016年の「サークルKサンクス」との経営統合です。統合により近隣で店舗が重複する「カニバリゼーション(共食い)」が発生したため、約1,000店規模で効率化のための戦略的な閉店(選別)が行われました。

Q:店舗が減っているのは経営が赤字で危ないからですか?

A:いいえ、必ずしも経営危機ではありません。これは「スクラップ・アンド・ビルド」と呼ばれる新陳代謝の一環です。古く効率の悪い店を閉め(スクラップ)、収益性の高い新型店へ資源を集中させる(ビルド)ことで、企業全体の質を高める戦略的な判断です。

Q:黒字の店舗でも閉店してしまうことがあるのはなぜですか?

A:主な理由は「人手不足」と「オーナーの高齢化」です。売上があってもスタッフが集まらず24時間営業が維持できなかったり、高齢のオーナーに後継者がいない場合、黒字であっても物理的に運営が続けられず閉店を選択せざるを得ないケースが増えています。

Q:不採算店と判断されて閉店になる具体的な基準はありますか?

A:本部は主に「損益分岐点のクリア(コスト吸収力)」「投資回収率(ROI)」「商圏の将来性(人口増減や競合リスク)」の3点を厳しくチェックしています。将来的に稼げる見込みがないと判断されれば、早期に閉店対象となります。

ファミリーマートの閉店理由の総括

ファミリーマートの閉店理由の総括

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カテゴリ 主な要因 具体的な背景
戦略的要因 M&Aと統合 サークルKサンクスとの重複店舗の解消(約1,000店)
財務的要因 不採算店整理 収益基準に達しない店舗の計画的な閉鎖
市場環境 市場飽和 ドミナント戦略の限界とカニバリゼーション
運営課題 人手不足・高齢化 24時間営業維持の困難と後継者不在

まとめになりますが、ファミリーマートの閉店理由は、単に「人気がないから」「商品が悪いから」といった単純なものではありません。ここまで読んでいただいた方ならお分かりいただける通り、その背景には複合的な要因が絡み合っています。

その多くは、サークルKサンクス統合に伴う戦略的な整理や、長期的な経営体質強化のための「スクラップ・アンド・ビルド」によるものです。

これに加えて、人手不足や市場飽和といった、コンビニ業界全体に押し寄せている大きな波が影響しています。一見すると店舗が減るのはネガティブに見えますが、これは「質の高い店舗を残し、持続可能なサービスを維持するため」の必要な変化だと私は捉えています。

今後も数千店規模の大量閉店はないにせよ、不採算店を整理しながら、より便利で快適な新型店へと生まれ変わるサイクルは続いていくでしょう。私たち利用者としても、この変化を見守っていく必要がありそうです。そして、もし近所のファミマが今日も元気に営業していたら、「頑張ってるな」と少しだけ応援していただけると、現場の人間としてこれほど嬉しいことはありません。

※ご注意

本記事の内容は、執筆時点での情報や一般的な業界動向に基づいた個人の見解です。個別の店舗事情や最新の経営数値については、必ずファミリーマートの公式サイトや公式発表をご確認ください。

  • この記事を書いた人

齋藤正志

コンビニの裏も表も知り尽くしたプロの視点から、新商品やお得なキャンペーン情報をどこよりも詳しく解説中!                                                   ▼保有資格▼                     日本商工会議所主催 販売士検定試験 1級取得,医薬品登録販売者試験 取得,食品衛生責任者 取得,防火管理者,SSTスタッフトレーナー                                              

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